時をかける表象

東大に2度落ちてもなお未だに浪人生をしているという学生の日記。記事と日記に分かれてます

抽出と着想

2018/12/26 水曜日

 

「連笑」という番組を見た

不幸な人が出てきて30秒のうちに笑わせたら勝ち

それを10人続ければ優勝というシンプルな番組

不幸な人というのは大半が一般人だし、その不幸さの程度も様々だったが、中には元ボクシング会長の山根明とかモト冬樹みたいな著名人がいた

笑わせる側の芸人も様々で、平野ノラとか流れ星、ハリウッドザコシショウ四千頭身、ずん、ネルソンズなど芸歴や性別関係なくチャレンジしていた

自分はこの番組の存在を知らず、適当にご飯を食べながら見ていたわけだが、30秒で笑わせればクリアというルールを聞いて流れ星ちゅうえいの一発ギャグが1番効いてくるだろうなと思った

しかし予想に反して見事10連笑を達成したのは2018年M-1王者の霜降り明星だった

まぁ霜降りだけ2回チャレンジして、他の芸人たちが苦戦した山根明会長が出てこなかったからというのも大きいのだけれど

でも今自分が焦点を当てたいのは10連笑できたという事実よりも、2人のポテンシャルの高さ、適応力の高さの方である

というのも、流れ星のちゅうえいなどの他の芸人がいつもの一発ギャグを披露していたのに対して、彼らは鉄板の一発ギャグが少ない分、自分の数ある漫才のストックから相手に合うやりとりだけを切り取って披露していたからだ

例えば金子元議員が出てきた時、カラオケに「何言ってんだ!」「もっと端的に話せ!」とかいう合いの手を入れて「野党か!」とツッコミをいれた(実際にはツッコミをいれる前にクリアになってしまったが)

ここだけ見たらなんてことないかもしれないが、粗品の抽出能力というのは前から目を見張るものがあると思う

よくクイズ番組で、なんでこの人はこんなことまで知っているんだ、と思うことがあるが、それはその人が常にクイズを意識して生活しているからである

普通の人と同じように新聞や雑誌、あるいはただのテレビを見ていても、「もしかしたらクイズに出るかもしれない」と無意識のうちに意識して見ている

だから「なんで知ってたの?」という司会者の問いに対して、「雑誌で特集されていたのを見たので、」という答えが返ってくる

それに近いものを粗品のネタに感じる

これは推測の域を出ない話だが、カラオケに「もっと端的に話せ!」という合いの手を入れてみよう、という話になってから、じゃあ「野党か!」ってツッコミを入れるわ、というプロセスを辿ってこのやり取りが生まれたのではないはずだ

多分、国会中継なりニュースなりで野党のヤジを見た時に「野党か!」とツッコミを思いついて、そこから逆算してボケを考えたか、「野党か!」というツッコミを入れようと考えて野党の数ある特徴の中から「ヤジを飛ばす」という側面に焦点を当てて、その側面が生きるようなボケを考えたか、のどちらかのはずだ

いずれにせよツッコミありきのボケだと思う

もし本当にこうした作り方をしているとしたら、生活に潜む多くの笑いの原石を抽出してやり取りを構築するという作業を四六時中やっているのではないか

彼らの漫才に、商品名やCMなどの生活に根ざしたボケやツッコミが多いのも納得できる

ビジネスマンにしても作家にしても、一流と呼ばれる人間のメモ帳やノートには日々の気付きがびっしりと書かれているらしい

どんな些細なことからも着想を得る人こそ頂点に上り詰めるのだと思う

ぜひ粗品のネタ帳やメモ帳を見てみたい

19歳にしてオールザッツ漫才を優勝し、最年少でM-1王者に輝いた粗品の意識の高さがそこに詰まっていると思う